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2009年5月

キャラのネーミングについてその2

少し話が長くなってしまうのですけど、もうちょっとキャラのネーミングについて。


ところで、キャラクターの名前は大体において漫画家に任されることが多いのだけれど、主人公の名前なんかには「これだけは」とこだわりを見せる編集者の方も多い。

僕が経験した話だと、今から10年くらい前、新連載開始にあたって、編集さんの方から「主人公の名前はこれで行きたいんだけど」とある名前が提示されてきたことがあった。

カラーページが入稿された後で、スケジュール的にはぎりぎりだったのだけれど、僕にはその名前が今ひとつしっくりこなかったので、話し合って、別の名前にしてもらった。

ところが掲載された号が発売になってみると、なんとばっちり最初の名前が印刷されていた。
編集さんとしてはおそらく見切り発車で、僕には事後承諾を求めるつもりで、最初の名前を入稿してしまっていたに違いない。
カラーページは、本文よりも1週間程度先に入稿するというスケジュール上の決まりが産んだ悲劇である。

おかげで僕の漫画の主人公は、第1話からカラーページと本文で違う名前を名乗るという、情けないはめになってしまったのだった。とほほ。

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キャラのネーミングについて

先日、録画しておいたとある春の新作アニメ(*)を仕事しながら見ていたら、突然、耳に「アキユキ!」という名前が飛び込んできてびっくりした。
思わず画面を見ると、どうやら主人公の名前らしいのだが、続いて「フルイチ!」とか「リュウゾウ先生!」とか、同じく聞きおぼえのある単語がばんばん飛び出してきて、さらに驚くこととなった。

というのは、そうした名前は、そっくり中上健次氏の小説の登場人物の名前だからである。
しかも氏の代表作、紀州サーガ3部作(「岬」、「枯木灘」、「地の果て至上の時」)の主人公達の名前から、そのまま取られている。

こういうのは、ファンとしてはちょっぴり複雑である。
というのは、スタッフに好きな人がいて、オマージュを捧げたいというのは分かるのだけれど、中上ファンならむしろ、日本文学史上に伝説的な輝きを放つ「秋幸」という名前を、自分の作品の主人公につけるなんて、恐れ多くて出来ないんじゃないかと思うからである。

あやかりたいという気持ちは分かっても、「フサ」や「龍造」というキャラクターを、そのまま秋幸の両親に設定してしまうのは、やはり少々やり過ぎではなかろうか?
作品自体はとても面白かったのだけれど。


。。。とかなんとか言いながら、自分でも時々やってしまうので恐ろしい。

「乱飛乱外」の主人公の「刀雷蔵」は夭折した伝説の映画俳優「市川雷蔵」から取ったし、「姫丸」は白戸三平先生の漫画に出てくるキャラクターである。
「忍法秘話」に「男同士がくの一の術比べをする」という馬鹿馬鹿しい話があって、子供心にそれが大好きで、よく覚えていた。
で、結局これ以上ぴったりの名前を思いつかなかったのである。

。。。ホント他人事ではないです。反省。


まあ僕の場合、こういう元ネタがはっきりしているのはむしろ例外で、基本的には時代劇用語とか地名とか、剣術用語とかからつまんで、音の響き優先ですぱっと決めてしまうことの方が多い。

「暗号名はBF」という作品ではスパイ→スパイスという語呂合わせから(涙)、香辛料やハーブから名前をとった。こういう言葉遊びは面白くて、結構好きである。


この話に関して、ちょっと面白い話を思い出したのだけれど、長くなってきたので次回に続きます。


(*)ちなみにこのアニメはとっくの昔に全話放送されて、現在流れているのは再放送だということです。

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SとかMとか

みなさんは飲み屋で女性陣の話題をさらう、という経験をしたことがありますか?
僕はあります。生涯ただ一度きりだけだけど。

あれは出版社の年末のパーティの3次会で、宴もたけなわ、といったころだったと思う。


ふと僕が、「あのさ、作品を読むと、描いている人がSだかMだか分かるような気がしませんか?Sだったらひたすら主人公を虐めたおすとか、Mだったらひたすら虐めに耐え忍ぶ主人公を描くとか。。。(良く考えるとこれどっちも同じだな)」とかなんとか適当なことをいったら、「えっ、ホントですか!?」とその場にいた女性作家さん一同が、驚くほど食い付いたのだ。

そこから、「ほら、あなたのキャラってよく虐められてるから、あなたMなんじゃない?」とか「でもあたし、どっちかっつーと虐める方に感情移入してんだけどなー」。。。という感じで場がひとしきり盛り上がった。
ああいうのはいいものである。なんだか自分が良いことをしたような気がする。


さて、話題を提供した僕はどうかというと、「ややS」くらいな感じだと思う。
ただ、漫画家である限りは、少々のMっ気がないと勤まらないので、差引「ノーマル」くらいなものではないだろうか。

こんな風に描くと、「漫画家にMっ気?あんたに?はあ?」とその筋から文句が出てきそうである。
しかし、どんな偉い漫画家さんだって、ネームの段階で(もしくは完成原稿になってからも)編集さんのチェックを受けるし、その時には「ああ、あそこを直されはしまいか」とか「『こんな漫画、うちの雑誌に載せられるかよ!』とか言って、ネームを机に叩き付けられはしまいか」とか考えながら、小鳥のように心をびくつかせているのである。

だいたい、今を時めく浦沢直樹さんだって、NHKの「プロフェッショナル〜仕事の流儀」なんかを見ると、担当の長崎尚志さんに、「あのさあ、浦沢さんさあ、ここの手のアップ、手の置き方が違うんだよね。バン!って叩き付けるんじゃなくて、そうっと置く感じに直してくれないかなあ」なんて言われて、泣く泣く完成原稿を直したりしているのである。
こういう商売が、なにかにつけて状況をコントロールしたがる、真性のSに勤まるものかと思う。


もちろん物事には例外があるもので、真性のSでも、立派に漫画家として活動してらっしゃる方もいる。
伝え聞くところによると、某世界一売れている漫画雑誌に、長く連載をなさっていた某先生は、アシスタントを虐めるそうである。
それも、何人かいるスタッフのうち、「今週はこいつ」と決めて、1週間、その人を虐め続けるそうである。
で、翌週はまた別の人が、という感じでえんえん続いて行く。。。らしい。

毎週変わっているだけましなのかもしれないけど、こういうのは雇われている側からするとたまったものではない。
僕はアシスタント歴が長かったので、こういう話を聞くと本当に腹が立つ。。。というか、お腹が痛くなる。しくしく。
DV(ドメスティックヴァイオレンス)の負の連鎖が、漫画界にもしっかり形をかえて存在しているのである。
怖いですね。


さて、なぜこんな話題をいきなりしたかというと、いま描いている、「乱飛乱外」の新章に出てくるキャラクターが強烈なSキャラだからである。

登場まで乞うご期待、かなり楽しんで描けましたから。。。なんていうと問題ありそうだけど。

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お勝さん

まいたけさんの「大奥ちゃかぽん!」に触発されたという訳でもないのですが。
江戸です。

Okatsu_12


竹光侍」(原作:永福一成、画:松本大洋)のお勝さん。
最近はまっているものとして描いてみました。
松本大洋さんって、ホントに上手いですね。
昔からファンです。

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