グルメ・クッキング

コロッケ愛

唐突ですが、皆さんにとって大好物はなんですか?

僕にとって、それはなんといってもコロッケである。
揚げ立てのあつあつコロッケに、ソースをかけた時のあのじゅっという音。
それを箸でさくりとひとくちサイズに割り、ほかほかと湯気をたてるコロッケを頬張る時の、あのなんともいえない幸福感は、ちょっと他のものに代えられない。うーん。

あなたの最後の晩餐は?なんていう質問も良くあるけど、あれも僕にとっては間違いなくコロッケである。
なにも食べ物が喉を通らなくなっても、夏目漱石のワインみたいに、刷毛でコロッケを唇に塗ってもらいたいくらいである。。。無理だけど。
そもそもコロッケも満足に食べられなくなったら、僕にとってはまさに年貢の納め時であると思う。


そんなおおげさな、コロッケなんて庶民的な食べ物ではないですか。。。という向きもあるとは思うが、ああ見えて手作りとなるとなかなか手間がかかる食べ物で、うちなんかでは昔も今も、たまにしか作ってもらえない。
単行本が発売されたり、重版がかかった時など、なにか祝いたいことがあった、特別な場合に限られるのである。


特別な場合といえば、子供の頃のお正月もまたそうであった。

大晦日になると、母親は夜なべをしておせちを。。。ではなくコロッケを作るのである。
それも大量のじゃがいもを買い込み、こしこしとすりつぶし、ミンチとタマネギを細かく刻んだものをじゅうじゅうと中華鍋いっぱいに炒め、それを混ぜ合わせてからせっせせっせと一晩かけて丸め、あとはそのタネを黙々と揚げ続ける。
出来上がる数は少なく見積もっても70〜80個以上はあったと思う。

それを正月3が日、家族や親戚一同にふるまい、みんなではふはふと食べ続けるのである。
うちのコロッケは甘く味付けたりはしない。
あくまでもじゃがいもの自然な甘味をいかし、そこに塩と胡椒で味付けをする。
したがって甘味からくる胸焼けなどなく、割と飽きも来ず、たくさん食べることができる。

だから、僕としてはたまに外で「コロッケ揚げ立て」みたいな看板についふらふらと釣られて、肉屋でコロッケを食べたりすると、甘さに愕然とすることになる。僕にとっては、やはりコロッケはあくまで家庭の味なのである。

しかし、と同時に僕にとってはなにやら晴れがましい気持ちになる食べ物でもある。
お正月、運動会や遠足、夏休みのたまの帰省、単行本発売。。。
僕にとってコロッケは、宿命的に祝祭のイメージと結びついている。
。。。ここまで書いてきて気付いたけど、こういう人って他にいるのかね?


それはともかく、皆さん単行本が出たら「ひとつ田中にコロッケを食べさせてやるか」なんていう気持ちで買ってやってもらえると嬉しいです。

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